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求人情報と実際の仕事内容が違う!?求人トラブルの予防法と対処法を徹底解説

求人トラブルの予防策と対処法を社労士が解説します

求人情報と実際の勤務条件が異なり困っています…

求人サイトを見る際に気を付けることは?

社労士

求人トラブルの予防法と対処法をアドバイスします

転職を考えている方や、新しい職場にチャレンジしようとしている方にとって、求人広告は重要な情報源です。

しかし、広告の内容が実際の職場環境や労働条件と異なることに悩む人は少なくありません。

せっかく新しい一歩を踏み出したのに、実際に入社してみると「こんなはずじゃなかった」と感じることは避けたいものです。

本記事では、入社後のトラブルを回避するために、求人広告をどのように読み解けばよいか、労務のプロである社労士の視点から詳しく解説します。

この記事を読むことで、求人広告に記載された情報の信頼性を高め、入社後のミスマッチを防ぐための具体的な方法を学ぶことができます。

このような疑問にお答えします
  • どんなトラブルが多い?
  • 求人情報で注意するポイント
  • トラブルが発生した時の対処法
目次

入社後に起こるトラブルの内容と件数

まずはハローワークの調査を見てみましょう。

求人票と内容が異なる旨の申し出件数が公表されています。

令和元年度令和2年度令和3年度令和4年度
申出等の件数5,778件4,211件3,870件3,890件
ハローワークの求人票と実際が異なる旨の申出等

上記調査には以下の内容は含まれていません。

  • 実際相違があっても申し出をしない方
  • 民間の求人サイトを利用した方のトラブルなど
社労士

求人情報にはトラブルの元がたくさんありますね。

以下の表にはトラブルの内容と件数です。

申出等の内容(主なもの)件数(割合)
賃金に関すること 1,085 件(20.8%)
就業時間に関すること765 件(14.7%)
職種・仕事の内容に関すること685 件(13.1%)
選考方法・応募書類に関すること600件(11.5%)
雇用形態に関すること358 件(6.9%)
休日に関すること309 件(5.9%)
雇用期間に関すること207 件(4%)
就業場所に関すること238 件(4.6%)
社会保険・労働保険に関すること194件(3.7%)
令和4年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数
社労士

賃金や就労時間は特に注意しなければなりませんね

求人広告で特に注意すべき業界・職種の傾向

特に注意すべき業界についても把握しておきましょう。

引用:厚生労働省(ハローワークの求人票と実際が異なる旨の申出等・申出等の詳細

  • 飲食業界:長時間労働や低賃金のリスクが高い。
  • 建設業界:過酷な労働環境や安全性の問題がある場合がある。
  • 販売業界:休日が少ない場合やノルマが厳しい場合がある。
  • 医療・福祉業界:長時間労働や低賃金のリスクが職種によって高い。
社労士

トラブルが多い業界が偏っていますね。
特に注意が必要です。

労働条件を確認すべき3つのタイミング

労働条件を確認すべき3つのタイミング

労働条件の注意すべきタイミングを解説します。

  • 募集(求人サイトや広告、面接)の労働条件
  • 内定後、労働契約書で提示された労働条件
  • 入社後の実際の労働条件

募集(求人サイトや広告、面接)の労働条件

いわゆる労働契約(入社)前の求人募集段階です。

求人広告の労働条件はあくまで「労働契約の申し込みの誘引」であり、そのまま労働契約となることではありません。

(重要)内定後に労働契約書で提示された労働条件

労働契約は労働契約書で実際の労働条件を提示され、求職者がこれに合意・署名することで成立します。

契約書なので労使お互いに法的拘束力を持ちます。

社労士

内定時に受け取る労働契約書に署名する場合は特に注意してください!

求人サイトや広告の内容と労働契約書の内容に相違がある場合は以下の対応を取りましょう。

  • 質問する
  • 入社を辞退する
社労士

社労士として、後悔することのないよう、慎重に対応することをお勧めします

入社後の労働条件

入社した後の労働条件が労働契約と異なる場合は法的トラブルになります。

トラブルが発生した場合は、会社に説明を求める、労働局や労働基準監督署に相談する、弁護士に相談するなど、適切な対処法を選択しましょう。

社労士

具体的な対処法は後の項目でご説明します。

求人情報を探す前に知っておくべき基本ポイント

求人情報を探す前に知っておくべき基本ポイント

トラブル予防のため、求人広告を読む際には以下の基本ポイントを押さえておくことが重要です。

信頼性のある求人サイトを利用する

歴史があり認知度の高い求人サイトは、情報の信頼性が高いです。

例えば、リクナビやマイナビなどの大手求人サイトは、広告代理店としても違法性をチェックしていますので信頼できるでしょう。

情報の詳細さを確認する

具体的な給与、労働条件、福利厚生が明記されている求人は、信頼性が高いです。

一方、曖昧な表現が多い求人は避けるべきです。

特に自社サイトの求人採用ページには具体的な給与や待遇がないケースが良くあります。

例えば、「給与は応相談」と書かれていたり、労働時間や休日の内容が不明瞭な場合も注意が必要です。

信頼できる大手の企業であれば良いのですが、聞いたことのない企業などは避けた方が無難でしょう。

過去の求人情報を調べる

さらに、過去の求人情報を調べることも重要です。

同じ企業が短期間で何度も求人を出している場合、離職率が高い可能性があります。

例えば、半年ごとに同じ職種の求人を出している企業は、内部に問題があるかもしれません。

求人広告の記載内容を確認すべきチェックポイント

求人広告の記載内容を確認すべきチェックポイント

求人広告の内容を確認する際、以下のポイントに注意しましょう。

給与と福利厚生、昇給昇格の詳細

具体的な金額や内容が記載されているかをチェックします。

  • 基本給
  • 手当
  • 賞与
  • 福利厚生
  • 昇給・昇格の詳細
社労士

これらの情報が欠けている場合は面接時に必ず確認が必要です。
注意しましょう。

労働時間と休日

次に労働時間や休日の取り方が具体的に記載されているかをチェックします。

「残業の有無や目安」
「完全週休二日制」「月〇〇日」
「年末年始」
「年間休日○○日」

など明記されているかを確認しましょう。

社労士

ライフワークバランスにおいてとても大切な確認項目です。

職場の雰囲気や文化

また、職場の雰囲気や文化も重要です。

企業のウェブサイトやSNSから情報を収集し、職場の雰囲気を確認します。

例えば、社員のインタビューやオフィスの写真が公開されている場合、それらを参考にします。

またインターネット上には転職専門の口コミサイトがありますので参考にしましょう。

転職会議 【転職会議】企業の口コミ・評判・求人が豊富な転職サイト (jobtalk.jp)

enライトハウス 会社の評判、口コミ、年収から転職・就職情報まで分かるライトハウス (en-hyouban.com)

社労士

上記のサイトは無料で口コミが確認できるのでおススメです。

求人広告で見落としがちなポイントとは?

求人広告を読む際に見落としがちなポイントを把握することで、より正確に労働条件を把握し、入社後のトラブルを防ぐことができます。

勤務地の詳細

まず、勤務地の詳細を確認します。勤務地が複数ある場合、配属先が明確に記載されているかをチェックします。

「東京本社勤務」「大阪支店配属」など、具体的な勤務地が記載されているかを確認します。

転勤の有無

次に、転勤の有無について確認します。転勤の可能性について具体的に記載されているかを確認します。

「全国転勤あり」「転勤なし」と明記されているかをチェックします。

具体的な業務内容

具体的な業務内容が記載されているかも重要です。

業務内容が具体的に説明されているか、曖昧な表現がないかを確認します。

具体的な業務内容が記載されているかをチェックします。

求人広告に記載されることが多い曖昧な表現の意味

求人広告に記載されることが多い曖昧な表現の意味

求人広告にはあいまいな表現が使われることがあります。以下のような表現には注意しましょう。

  • 「アットホームな職場」:労働環境が過酷である可能性がある。
  • 「やりがいのある仕事」:給与や労働条件が不十分な場合がある。
  • 「未経験歓迎」:業務内容が単調である可能性がある。

ブラック企業はあいまいな募集内容で人を集めることが多いので注意が必要です。

社労士

実際に行われている勤務内容では、人材を確保することができないためです。

面接時に確認すべき重要な質問リスト

面接時には以下の質問を必ず確認しましょう。

  • 具体的な業務内容:実際に行う業務の詳細について確認しましょう。
  • 労働条件の詳細:労働時間、給与、福利厚生について求人情報で気になる点は確認しましょう。
  • 職場の雰囲気:職場の雰囲気や社員の働き方について確認しましょう。

選考中なのであれこれ質問が多すぎると評価が下がり不採用となる場合があります。

質問の仕方と量を考えて不快な印象を残さないよう気をつけましょう。

入社前に確認すべき雇用(労働)契約書の内容

入社前に確認すべき雇用(労働)契約書の内容

選考に合格した際は、内定通知と共に労働契約書が交付されます。

労働契約書に署名することで、以下の法的な事項が確定し雇用関係が成立します

  • 労働条件を確認し、承諾したこと
  • 入社後の待遇や業務内容が確定したこと

求人内容と労働契約書の内容に相違がある場合、労働契約書の内容が優先されます。

労働契約書に署名した後は、撤回することはできません。

雇用契約書を確認する際は、以下のポイントに注意しましょう。

  • 労働条件の明記:給与、労働時間、休日、福利厚生などが具体的に記載されているか。
  • 試用期間の条件:試用期間の長さやその間の待遇について確認する。
  • 契約期間:契約期間の有無やその条件について確認する。
  • 仕事の内容:入社後の業務内容をよく確認する。

契約書に不明瞭な点や求人情報との相違がある場合は、以下のように対応しましょう。

  • 質問する
  • 入社を辞退する
社労士

社労士として、後悔することのないよう、慎重に対応することをお勧めします

入社後トラブルのよくある事例

入社後トラブルのよくある事例

ケース別に起こるトラブル事例を見てみましょう。

給与が求人内容と違う場合

給与が低い

  • 求人サイトでは月給30万円と記載されていたのに、実際には25万円しか支給されなかった。
  • 入社前の面接で「経験を考慮して昇給の可能性がある」と言われたが、実際の契約書にはその旨が明記されていなかった。
  • 求人内容にボーナス支給ありと記載されていたが、実際にはボーナスが支給されなかった。

給与の支払い遅延

  • 求人サイトには毎月25日が給与支給日と記載されていたが、実際には毎月の支払いが遅れている。
  • 入社後数か月経っても、支払いスケジュールが明示されていない。
  • 求人内容で提示された給与額が、試用期間中に遅延して支払われることが繰り返されている。

手当の未支給

  • 求人サイトに記載されていた交通費や残業手当が支給されない。
  • 入社前に約束されていた家族手当や住宅手当が実際の給与明細には反映されていない。
  • 面接で話された特別手当が、給与明細に全く記載されていない。

勤務時間が違う場合

長時間労働の強要

  • 求人票では「残業なし」と記載されていたのに、実際には毎日2時間以上の残業がある。
  • 面接で「フレックスタイム制」と説明されたが、実際には厳格な9時~18時の勤務時間が強制されている。
  • 求人内容に「週40時間勤務」と記載されていたが、実際には毎週土曜日も勤務を強いられている。

突然のシフト変更

  • 求人票では「固定シフト」と記載されていたが、実際には毎週異なるシフトに変更される。
  • 面接で「土日休み」と言われたのに、実際には週末勤務が頻繁に発生する。
  • 求人内容で「月に1回の夜勤」と記載されていたが、実際には月に3回以上の夜勤がある。

勤務開始・終了時間の変更

  • 求人票では「9時始業」と記載されていたが、実際には毎日8時に出社を求められる。
  • 面接で「18時終業」と言われたのに、実際には19時以降まで勤務が常態化している。
  • 求人内容に「昼休み1時間」と記載されていたが、実際には30分しか取れない。

業務内容が大幅に異なる

異なる職種の業務

  • 求人サイトでは「営業職」と記載されていたのに、実際には「事務職」として働かされる。
  • 面接で「クリエイティブな仕事が中心」と説明されたのに、実際にはデータ入力が主な業務となっている。
  • 求人内容に「プロジェクトマネジメント業務」と記載されていたが、実際には「サポート業務」に従事させられる。

業務量の過多

  • 求人サイトでは「顧客対応業務」と記載されていたが、実際にはそのほかに在庫管理や発送作業も担当することになった。
  • 面接で「週に2件のプレゼン」と言われたのに、実際には毎週5件以上のプレゼンをこなす必要がある。
  • 求人内容に「チームでの作業」と記載されていたが、実際には個人で複数のプロジェクトを同時進行することが求められる。

専門外の業務

  • 求人サイトでは「マーケティング」と記載されていたが、実際には「経理」や「人事」の仕事も兼任させられる。
  • 面接で「技術サポート」と言われたのに、実際には「営業活動」も求められる。
  • 求人内容に「ITサポート」と記載されていたが、実際には「現場での機器設置作業」を行わされる。

これらのトラブル事例は採用現場では良く発生している事例です。

遭遇してしまったら以下の対応を考えましょう。

求人広告や労働契約書と実際の仕事内容が違った場合の対応策

求人広告や労働契約書と実際の仕事内容が違った場合の対応策

求人広告と実際の仕事内容が違った場合、以下の対応策を講じましょう。

上司や人事担当者に相談する

入社して間もないと相談し辛いですが、ストレスを抱え続けて仕事をしていくことはさらに辛い事です。

許容範囲を超えた場合は勇気をもって相談することは必要です。

労働局や労基署に相談する

社労士

まずは労働局に相談するのが良いでしょう。
公的機関なので無料で対応してもらえます。

お住まいの各エリアに労働局の総合労働相談コーナーがありますが、電話相談窓口も利用できます。

労働条件相談ほっとライン:0120-811-610

社労士

まずは電話で相談してみましょう。

転職を検討する

問題が生じた場合、会社との信頼関係は損なわれがちです。

労働条件が改善されたとしても、同じ職場での勤務が困難になることは珍しくありません。

苦しい状況が続くなら、転職を考えることも一つの選択肢です。

社労士

今は売り手市場です。
良い企業の求人情報はたくさんありますよ

まとめ

入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、求人広告を慎重に読み解き、労働契約書の内容をしっかり確認することが重要です。

またトラブルが発生した場合は、適切な対応策を講じることでストレスなく早期に解決することができます。

納得のいく転職ができるように正しい知識を事前に身につけておきましょう。

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